Happy KARATE

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朝、携帯が鳴った。

「もしもし」
「ああ、お兄ちゃん、あのさ、あなた今日何してるの?」
「いや特に予定ないけど。。。」
「私、今日そっちのほうにいくから、お茶でもしない? あなたいいお店知らないの?」
「お茶はいいけど、どこで?」
「例えば浜松町とかは? ていうか、浜松町ってどんなところなの?」
「えー、浜松町におしゃれなカフェがあるかどうかは微妙。つまりそういうところ。俺もあんまり行った事ないけどさ」
「とにかく、夕方4時くらいに時間が空くから、それまでに考えておいて」
「カフェみたいなこ洒落たところは分かんないよ。最悪ドトールになってもいいでしょ?」
「ドトールだなんて、冗談じゃないわ。わざわざ飛行機で東京出るのに。とにかく頼んだからね。じゃあ」

おしゃれなカフェって言われてもなぁ。そんなところにしょっちゅう行くのは僕の性分ではないし、そもそも、おしゃれなカフェをたくさん知っている男が、土曜の朝から暇を持て余している訳はないのだ。

時間は11時。
とりあえず、浜松町近辺でおしゃれなカフェをネットで検索してみる。
思えば妹と二人でどこかに行った事は今までの人生で一度もない。
それどころか、妹と僕がコンタクトを取り合った事も、この10年で数えるほどしかない。メールが2回、電話が1回。そんなものだ。もっとも、大学から一人暮らしを始め、ろくに実家に寄り付かなかったのだから、当然と言えば当然だが。
しかしこの急な呼び出し。今日は本当にお茶だけが目的なんだろうか?
そんなことを考えながら、浜松町で若い女の子が喜びそうなカフェを発見。と、妹からメール。

『築地なので、銀座に変更しましょう。16時半ごろ☆
話題のお店を期待してるわ♪』

ちぇ、せっかく見つけたのにと、プリントアウトした浜松町のカフェの地図をゴミ箱へ投げ捨てる。
まあ銀座であれば、おしゃれなカフェはいくらでもあるだろう。
めぼしいところをいくつかピックアップ。銀座までの電車で退屈しないよう、本を何冊か鞄に放り込んで家を出る。

電車の中で考える。
しかし何の用事だろう。単にせっかく東京にくるからってだけなのか? ひょっとして恋人をまずは兄に紹介するってことなのか?だとすると僕の今のこの格好ったらないや。
それともお金? いや、この30年で妹と二人で何かするってのは初めてなのだ。もしかするととんでもない企てがあるのかもしれない。ひょっとして犯罪?だったら嫌だな。今まで犯罪とは無縁の生活をしていたのに。あるいは。。。単に僕の最近の会社での状況を心配して?でもどうしてそんなことが分かる。。。ああ、ブログか。その可能性はあるな。確かに最近の仕事は面白くはないけれど、妹の慰めが必要なほど僕は弱っちゃいないぞ。いろんな考えが頭の中に浮かんでそのまま消えずに半透明なままずっと残って積み重なっていく。ああなんだか気が重くなってきた。

16時30分。
待ち合わせ場所に指定していた日産ギャラリー前でぼーっとしていると程なく妹が登場。二人で並んで歩くのは小学校のとき以来なのでなんとなく照れくさい。

「お待たせ」
「ああ、いいよ。一応、おしゃれなカフェ調べてきたんだけどさ。この人だかりだ。ドトールですらあんなに込んでるんだぜ」
「あ、ほんとだ。で、どこ行くの?」
「えっと、フレンチのデザートが有名なところと、大正ロマンあふれるところ、どっちがいい?」
「大正ロマン却下」
「わかった。ちょっと歩くよ。で、何しにきたの? 東京に。ひょっとして何か深刻な話?」
「いや、実はね、時事通信の面接受けにきたんだ」
「え、時事通信って、あの時事通信?」
「そうそう。とりあえず一次のエントリーシートの審査が通ってさ、今日が面接。交通費も支給されるんだよ」
「そうそうってさ、本も読まないお前がなんで通信社なんだよ。俺が行きたいくらいだよ」
「なんでって私の今までの実績が評価されたんじゃない」
「確かお前。。。」
「そう広告代理店だけど」
「なに、そんなにお前、目に見える成果を出してるの?」
「うん、この年じゃ結構出してる方よ」
「例えば?」
「例えば、ライオン」
「ライオンって銀座ライオンの?」
「はぁ、銀座ライオンってなによ。違うわよ。ほら、おはようから。。。」
「おやすみまで暮らしを見つめる、あのライオンか?」
「とかね、まあいろいろ」

そんな事を話しているうちに、カフェに到着。
しかし妹が新聞社とは。
しばらくお互いに近況を報告し合う。

「で、あなた今の会社はどうなの?」
「まあ、ろくでもない上司がいたりするけど、お金稼ぐ手段だからね。割り切って働いてるよ。」
「ああ、どうせ、あなたのことだから、必要以上に責任感感じてやってるんでしょ? 仕事なんで適当でいいのよ。いい加減でさ」
「ま、お前が適当にやってるのは知ってるけどさ、それでよくエントリーシートだっけ、書類の審査受かったな。時事の。」
「ははは。でもさ、今日が一次面接で、次が二次でしょ。まだわかんないよ。でも行きたいなー」
「でもどうしてさ、時事なのよ」
「あなた知らないの?、私新卒の時も受けてるのよ。最終で落ちちゃったけど。だから、私の心の中ではずっと気になってはいたの」
「へー、知らなかった。でもさ、お前本も嫌い、勉強も嫌いじゃないか。俺と違って」
「へへーん、勉強だけじゃないのよ。世の中。なんかね、新卒で面接したときの時事の面接官がとても素敵な人だったの」
「素敵な人は、でも、どの会社でもいるだろ?」
「そうかも知れないけどさ、今みたいな小さな会社より、大きな会社のほうがそういう素敵な人が多いと思うのよ。それに今日の面接官だってとっても感じのいい人だったし」

妹が注文した白ワインと、僕の注文したアイスのアールグレイ、そしてドルチェが運ばれてきた。

「なに、あなたこれ、プリンなの。一口もらうね」
「なんだよー。俺のプリン食うなよ。で、今日の面接はどうだったの?」
「うーん、言いたい事は言えたって感じかな。だからもしこれで落ちても後悔はしないと思う」
「でも受かるといいよね。東京はやっぱり面白いと思うよ。勤務地は東京だったら銀座なんでしょ?」
「そうみたいよ。そうだよね。まあ関西に慣れてるから関西勤務にも魅力を感じるけど、出来ればこっち出てきたいなー」
「うん、俺も東京で暮らし始めた時は楽しくてしょうがなかったもん」
「へぇー。ま、でも受かったらだけどね」
「そうだな。あんまり夢を膨らませると、落ちたときショックがおおきいもんな」
「そうそう」
「発表いつなの?」
「それがさ、今日なのよ。今日受けて今日結果が分かる」
「すごいな。ま、一週間やきもきしながら待つよりいいじゃん」
「それはそうなんだけどね。今こうやって甘いものを食べてる間にも、審査は進んでるってこと。あー、でも落ちたら今の会社でもうしばらく働くのかぁ。下がったモチベーションを再び上げて働くのって大変。ふぅ」
「受かったら、東京勤務希望するの?」
「まだ悩んでる。今は神戸に一人暮らしだけど、ほら、一ヶ月に一度くらいは実家に帰ってるし」
「親父も海外の出張が多いから、お前が東京きたら、母さんが今以上に寂しがるだろうな。今だって一人でいることが多い訳だし」
「そう、そこなのよね。それにお母さんのこともあるんだけど、私にとっても、関西って居心地いいからなぁ。勤務希望聞かれたら、きっと悩むだろうな。背中を押して欲しいってのはあるんだけどね」
「背中を押すって、例えば会社から東京勤務を言い渡されるってこと?」
「そうそう、ほらやっぱり新しい環境で自分を試してみたいってのもあるし、でもそういう選択肢をさ、自分で選ぶって結構勇気がいるからさ。。。ううん、そういうことは面接受かってから考えるっ!」
「ま、今回落ちたら来年、また受ければいいよ」
「そうだね」

しかし、この10年ほとんど会わなかった間に、妹は妹で当たり前だけれどもいろんな事を考えながら生活している。単純だけれど一本筋が通ってるんだ。この妹は。なんだか羨ましい。羨ましい反面、なんだか、ずっとしゃべってて少し勇気をもらった気がする。

大学卒業から今まで完全な自立を目標に、ただやみくもに仕事をし、悩み、嫌になり、考え込んでいたりしたけれど、ここらで一歩立ち止まって家族に目を向ける時期に来ているのかもしれない。今まで家族に近況を伝えたり、相談したりするのは、自立とは正反対の行為だとひたすら拒絶し続けてきたが、自立するのと家族との対話を拒絶するのは全く別の次元の話なのだ。最近とくにそう思う。むしろ、気が向いた時に家族と話す、たまに電話をしてみる、そうした時間が僕には必要。そんな気がする。

羽田まで行くという妹を新橋まで送っていく。
「今日は時間つくってくれてありがと。しかもおごってもらって。結構おいしかったよね。ああ、受かるといいな」
「あんまり期待しすぎちゃだめだよ。だめなら来年、来年」
「そうだね。一次が通ってたら二次でまたこっちくるからその時ね」
「じゃ」

妹を送り出す。なんだか今日は気持ちのいい一日だった。
と思い出して、鞄から携帯を取り出して電話をかける。

「あ、もしもし、母さん。いや大した用じゃないんだけど、うん。今日あいつがこっちに来ててさ。誰って?だからさ。。。」




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  1. 2005/05/29(日) 00:27:19|
  2. 未分類|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:11
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コメント

お、今日は小説風だね。

moogって妹に「あなた」って呼ばれてるのか。
俺は「にいちゃん」って呼ばれてるけど、「あなた」もなかなかいいな。

俺は、いとこの旦那に、「kにいちゃん」と呼ばれるのが気恥ずかしい。
昔からそう呼ばれてたならいいけど、大人になって出会って、「kにいちゃん」だと、やっぱ恥ずかしいわ。
  1. 2005/05/29(日) 01:19:16 |
  2. URL |
  3. k #F22A.tdY
  4. [ 編集]

>お、今日は小説風だね。
はは、そうだね。
今日の出来事は、会話も含めて書き留めておきたくて、で、会話を(会話じゃない)文章に構成するのが大変だったから、ほとんど会話だけで書いてみた。

>俺は「にいちゃん」って呼ばれてるけど、「あなた」もなかなかいいな。

小学校のときは「お兄ちゃん」だったけど、思春期に入るとお兄ちゃんだなんて呼んでられないっていうんで、呼び名がなくなる、呼び名が行方不明の時期が長かったんで、今となっては、妹も兄のことをなんとよんでいいかわかんないんだと思う。「あなた」というのはよく考えたというか、苦肉の策だなと思うけど(笑
なんとなくさ、「兄者(あにじゃ)」と妹には呼んで欲しい。なんかかっこいいし。
  1. 2005/05/29(日) 05:07:14 |
  2. URL |
  3. moog #VPyoe7.2
  4. [ 編集]

>「兄者(あにじゃ)」

いいな、それ。
俺は、兄貴(あにき)もいいかな。

前の彼女に自分を「先輩」と呼ばせるのが好きだった。
設定は高校の裏庭。

「k先輩!」

「何だい?」と振り向く俺。

「好きです!」

「うーむ。実は俺もお前のことがっ!・・・うわっははははは」

2人でゲラゲラ笑い転げる。
飽きもせずに何回もやったな。
  1. 2005/05/29(日) 14:00:55 |
  2. URL |
  3. k #F22A.tdY
  4. [ 編集]

兄弟の会話は標準語?や,小説風だからか?

家族ねー。
  1. 2005/05/29(日) 18:10:15 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集]

子供のころ「おねえちゃん」と呼ばれてみたくて教育したんだけれど、効果なく、呼び捨てにされる姉。今となってはそれもよいけど。

  1. 2005/05/29(日) 21:05:30 |
  2. URL |
  3. M #-
  4. [ 編集]

>前の彼女に自分を「先輩」と呼ばせるのが好きだった。

気分はなんとなく分かるけど、俺は萌えないな。それ。中学、高校と全然もてなかったから、先輩とか言われても現実味に乏しくて。。。


>兄弟の会話は標準語?や,小説風だからか?

母親が東京生まれって言うのもあって家では全員が標準語を話す家庭です。
なので、妹と話す時も標準語。

>子供のころ「おねえちゃん」と呼ばれてみたくて教育したんだけれど、

普通はおねえちゃんって呼び方を最初に覚えると思うけど。一番分かりやすいし。ちょうどその単語を覚えるであろう頃に、むりやりおねえちゃんって単語を刷り込んだんじゃない?
子供は何か教えられると反抗したくなるもんだから。
  1. 2005/05/29(日) 21:49:08 |
  2. URL |
  3. moog #VPyoe7.2
  4. [ 編集]

>気分はなんとなく分かるけど、俺は萌えないな。

萌えない?
風景描写を書き忘れていたからかな。
もう一回チャレンジ!

「k先輩!」

「何だい?」と俺が振り向くと、彼女が、神様に祈りを捧げてる時の手の組み方をして、潤んだ瞳で俺の目をじっと見つめる。

ジャンプで連載してた「キックオフ」の世界が流れる。
(参考URL http://picnic.to/~funuke/gudaguda/kickoff02.jpg

「好きです!」

「うーむ。実は俺もお前のことがっ!・・・うわっははははは」

これでどうだ!
  1. 2005/05/29(日) 22:15:19 |
  2. URL |
  3. k #F22A.tdY
  4. [ 編集]

moogさんって、私の中では家族と仲のいいイメージですけどね。。。
それにしても、兄弟って不思議ですよね。自分は、妹ともしクラスメイトで血のつながりがなかったら、特に友達でもないのじゃないかなって思うことがあります。

なお、自分のほうは、母方の親戚一同、誰もおねえちゃんとかおにいちゃんとか呼ばれてないですね~。よく考えたら、妹の子供も、おにいちゃんとは弟から呼ばれていない。
  1. 2005/05/30(月) 00:25:59 |
  2. URL |
  3. M #-
  4. [ 編集]

僕は妹とは結構仲がいいです。
一緒にプレステやったり、テレビ見ておしゃべりしたり・・・
妹が結婚してからは、僕の代わりが出来たので、以前ほど一緒に遊んだりしませんが、やっぱりしゃべってると子供の頃に戻りますね。
いとこともよく遊ぶし、血のつながりはよく感じます。
  1. 2005/05/30(月) 08:29:40 |
  2. URL |
  3. k #F22A.tdY
  4. [ 編集]

僕もアイ(k)の妹とは仲がいいです。
一度一緒にキタバチで遊びましたよね。

>これでどうだ!
すまん期待に応えられなくて。
俺、どうもキックオフの世界観が苦手みたいだ。
俺なりの萌えシチュエーションを発見したら、日記に書いてみるよ。
  1. 2005/05/30(月) 08:42:28 |
  2. URL |
  3. moog #VPyoe7.2
  4. [ 編集]

>僕もアイ(k)の妹とは仲がいいです。
一度一緒にキタバチで遊びましたよね。

よく覚えてるな。
あの時のメンツって、ハダヘンドリクスとtokobayashiだったっけ?

>キックオフの世界観が苦手みたいだ

そうか。
キックオフが駄目ならしょうがない。
俺は妄想でキックオフをしまくった世代だからな。
あだち充のマンガに出てくるマスターの「むふっ」も真似してた世代だ。
  1. 2005/05/30(月) 14:25:55 |
  2. URL |
  3. k #F22A.tdY
  4. [ 編集]

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